あの当時…演出30点と酷評された苦い思い出

クラッシュ2000再登場となった9.15YOKOHAMA DOUBLE DESTINY 2000。

有明大会から発生したチームクラッシュと昭和超世代の軍団抗争は当時のGAEAファンを熱狂させ、今大会も満員札止め、メインイベントのクラッシュ2000 vsアジャコング、ダイナマイト関西の大将戦も汗握る好試合、観衆6300人、興行的には大成功。ファンからも好評、私の演出効果も大会の盛り上げに一役買った。…….はず….でした。

 

…………………今大会は、新世代 チームクラッシュと昭和超世代の新旧闘争、そしてクラッシュ2000再登場となるビックマッチ。有明コロシアムでクラッシュ2000が「時代の扉」を開け、里村明衣子他チームクラッシュ新世代の選手が存在感を示すテーマが課された大会でした。

有明大会に続き、次回大会となるビックマッチの演出を任された私は、今までのプロレス会場とは異なる雰囲気を作りたく、「格闘技らしくない空間」として、純白の布で会場の壁を覆い、舞台花道は雪が積もったイメージの白いカーペットを敷き、白色光源が強い大型サーチライトを用いて、スタイリッシュで幻想的な空間を創造し、夏の日差しが続く横浜に雪を降らす演出を考えていました。

この演出は、クラッシュ2000の、「降らす演出」から発生したプランで、細かく刻んだ白い紙を天井のスノコにクラッシュドル💲同様、スクローラーと言う装置を使用する考えでした、しかし施設と打ち合わせした際に、天井の梁にスクローラーのハンガーの大きさが噛み合わず、設置が困難と分かり、代案として、天井に、鳶(高所作業スタッフ)を配置させ、直接、手で撒く、超アナログプランを施設側から提案され、その提案を受け入れて、演出を組み直しました。

ところが大会3日前に、文体から天井からのクラッシュドルの散布を中止して欲しいと連絡がありました。文体としては、お客さんが客席にいる中で、天井から何か小さな物でも落下したら、大事故につながる危険性があり、安全管理的に施設からの提案を取り消して欲しいとの事でした。私は、館長直々に安全管理の対策を伝え直訴しましたが、申し訳ないが諦めて欲しいと館長は横を横に振るばかり、主催のGAEAJAPANからも、交渉してもらいましたが、事態は好転する事なく大会前日になってしまいました。時間も残り僅かとなり、代わりとなる策を講じなければならず、「振らす事」が出来ないとなれば、どうやって降らすかと考えた結果、逆に、床から吹上げて、落下させる事を思いつきました。そこで 特殊効果スタッフに映画やドラマで吹雪を撮影する際に使用するFREEXフリエックスと言う機材を手配してもらいました。この機械は、筒形でラッパの形状をした送風機で、プロペラ羽が無い代わりに炭酸ガスで吹き飛ばす特殊効果で、その機械を花道床下に設置して、手差しでクラッシュドル入れ吹上げる演出に切り替えました。

「逆転の発想」とは、まさにこの事かと思う程 想像以上に功を奏しました。この翌日 スポーツ紙は、ビックマッチらしく演出も凄かったと評価されました。

しかし、この大会を報じた週間ファイトだけが、GAEA YOKOHAMA DOUBLE DESTINY 「演出は30点」!と何とも衝撃的な見出しが掲載されていました。

その記事内容には以下の事が記載されていました。

ガイアの演出は回を重ねるごとにグレードアップしている(中略)オープニングではステージに設置された250インチの大型ビジョン(2台)に白い雪が映し出され、ビジョン両横から大量の白い紙吹雪が舞い散った。また花道が真っ白だったのは雪をイメージしていたから 残暑続きの中、少しでも涼しいさを感じてもらいたい狙いがあったようだ。ところが大会前日にハプニング、本来は体育館の天井裏に職人を10人配置し、アリーナ全体に紙吹雪が散る仕掛けを用意していたが、体育館側が職人の危険を心配して、中止を勧告。やむ得ずビジョン横から空気圧を利用して紙吹雪を飛ばす方法に変えた。またクラッシュ2000のロゴと2人の顔写真が印刷された「CRUSH2000/1ドル札」が 1万4,000枚舞ったが、これも当初の予定では、天井裏から降らせるはずだった。 この二つが前日にキャンセルとなったことで、木村統括は「今日(の演出)は30点もつけられへん」とがっくり。ビックマッチ感とメジャー感を打ち出すには十分な演出だったが、規模縮小を余儀なくされたためスタッフには課題を残したようだ。この2点はスタッフによって進められたが、今回は長与も企画に初めて参加した。オープニングセレモニー とクラッシュ入場時に観客席に投げられたクラッシュ2000のネームプレートは、長与のアイディア、米国旅行中にネームプレートを購入した。長与は今日の試合を忘れないで欲しい。絶対に記憶に残してほしいという意味を込めて9.15横浜限定グッズを制作できないかとスタッフに相談。スタッフは長与の意見を組み入れ、限定 50個のネームプレートを作った。「今後の発売予定は無い」(木村統括)とあって、超プレミアム品であるのは間違いなし。「CRUSH2000/1ドル札」とともにゲットできた人は縁起がいいらしいと言うが本当だろうか……(週刊ファイト掲載原文記事)

見出しタイトルは、GAEA関係者のインタビューから切り取った一言で、週刊ファイトはビックマッチ感 メジャー感を出すのに十分だったと高評価をしています。 

実はこの記事の出どころは、GAEAの演出がマスコミから評価された一方、まだまだGAEAJAPANはこんなもんじゃない!とした 大会の裏話を提供した小ネタで、GAEAもあれだけ大きく紙面掲載されたのは意外だったと笑っていました。

演出を担当した私にとって気分的に良いものではないし、迷惑な話ですが、 週間ファイトが 誌面1/3を使って大会演出に特化した記事を掲載してくれたのは、裏方冥利に尽きる記事であり、この記事は演出に携わる者として当時も今でもすごく名誉な事だと思っています。

 

この経験から「逆転の発想」とは「必ずこう解決しなければならない」という固定観念を一度排除して考えてみることが重要という事を知り、物事を通常の視点からではなく、逆の角度から捉えれば 思わぬ成果を生み出す事が出来ると言う良い教訓となりました。

絶体絶命の危機的状況で生まれたこのアイディアが 11年後 レインメーカーとして凱旋帰国したオカダカズチカ選手によって全く同じ手法で 「カネの雨」を降らし、プロレスファンの注目を集めるセンセーションを巻き起こす事になるのですが この入場アイディアが 「演出30点」と評されたのは何とも皮肉な話しですね。

U2CREATE  ユーツークリエイト 内海毅  UTSUMI TAKESHI 

GAEAISM公式チャンネルGAEAJAPAN 10年の映像アーカイブより